
患者さんとともに早期社会復帰をめざします
Results 診療実績



2022年度は185例の食道がん手術を行っており、 約97%の患者さんが低侵襲手術(からだへの負担が 少ない手術)を受けられました。特に「ロボット支援手術」「縦隔鏡手術」の症例数は増加傾向であり、 今後もさらなる低侵襲手術の開発に尽力致します。
からだへの負担が少ない食道がん治療
M-MIS (集学的低侵襲性外科治療)
からだへの負担が少ない手術(M-MIS)とは、
- 手術前に抗がん剤や放射線治療でがんを小さくする(NEO)
- 胸腔鏡や縦隔鏡でのがん切除と腹腔鏡での再建術を行う(OPE)
- 手術前から専門性の高い医療スタッフ支援を受ける(CARE)
これらにより患者さんの社会復帰を目指す、新しい治療体系のことです。 胸部食道癌だけでなく、頸部食道癌・食道胃接合部癌にも対応します。
より安全・確実に食道がんを切除する
「ロボット支援手術」

当院では安全性に関する臨床試験を行い、最新の手術支援ロボットを用いた手術を保険診療で行っております。
ロボットが自分の意志で手術する訳ではありません。
精密な内視鏡下手術を行うことを支援するための最新鋭コンピュータを、専門の認定を受けた熟練医が 4本のアームを操作することで、「機能を温存しつつ、より確実な食道がんの切除」を行います。
ロボット支援手術のメリット
ロボット支援手術による「身体の大切な機能を温存 しつつ、がんを徹底的に切除する手術」を受けることで、傷が小さく臓器機能が温存されるので、術後の回復が早く、日常生活への復帰も早くなることが期待できます
手術支援ロボットの機能
これまでのがん治療における外科的手術は、内視鏡手術の導入により手術成績は大幅に改善しました。 現在、当院が積極的に行っている「ロボット支援手術」 では、 「内視鏡手術では不可能とされていた動き・視野が可能」となり、さらなる手術成績とQOL(生活の質)の向上が期待されます。


人間の手首のように
自由自在に動く先端
人間の手首のように、自由に屈曲や回転ができる精密で安定した多関節機能。ロボットの手は人間の指程度の大きさなので、狭い体内でも正確に安全に手術を行うことができます。
高解像度の
3D映像で
より見やすい
高精細な3次元拡大映像で、臓器機能を温存したがん切除をより正確に行うことが可能です。
小さな動きでも
ブレない
手ブレ補正機能
大きな手の動きを小さな鉗子の動きに変換、人間の自然な手ぶれも鉗子に伝わらないよう自動補正してくれます。
手術リスクの高い方も
安心して受けていただける
「縦隔鏡手術」
食道の周りには、気管や心臓、大動脈、肺静脈など、重要な臓器がたくさんあります。そのため、従来の胸部を大きく開く開胸手術は体への負担が大きく、術後の合併症リスクも高いものでした。
「縦隔鏡手術」では、胸部での操作を行いません。
縦隔鏡手術のメリット
頸部・腹部のそれぞれから食道まわりの臓器を剥がし、トンネルを開通させるように食道がんを切除します。 そのため、からだの傷も小さく、肺や他の臓器へのダメージが少なくなり合併症のリスクを大幅に減らすことが可能となります。
からだへの負担が非常に少ない手術(低侵襲性外科治療)、それが「縦隔鏡手術」です。
小さなきず
トンネルを開通するように切除

頸部と腹部にポート(穴)を留置
専門スタッフがチームで
早期社会復帰をサポート


患者さん一人一人の
状態に合わせて
支援を行っています
食道がんに対する手術はからだへの負担が大きいため、当院では、手術前から臓器の機能を高めて、早期社会復帰を目指した多職種による支援を行っております。
初診で「患者サポート研究開発センター」での各種専門職(看 護師・栄養士・薬剤師・理学療法士・作業療法士・歯科など) から 手術へ備えた支援の導入を行い、さらに麻酔科とも連携をとって患者さん一人一人の状態に合わせた安全な手術ができるよう配慮しています。

大幸 宏幸
Hiroyuki Daiko, MD, PhD
国立がん研究センター中央病院
食道外科長
食道外科グループでは、消化管内科、放射線治療科、放射線診断科との密な 医療連携のもと、食道から発生する悪性腫瘍に対して、進行度と患者さんの状態に 応じたからだへの負担が少ない外科治療を行っています。さらに、治療成績向上のため、 術前補助療法と手術技術に重点を置いた研究と開発も行っています。
Surgical Team 国立がん研究センター中央病院 食道外科チームメンバー
医長
小熊 潤也
Junya Oguma
医員
石山 廣志朗
Koshiro Ishiyama
医員
栗田 大資
Daisuke Kurita
病院長
瀬戸 泰之
Yasuyuki Seto
がん専門修練医
久保 賢太郎
Kentaro Kubo
がん専門修練医
宇都宮 大地
Daichi Utsunomiya
がん専門修練医
秋本 瑛吾
Eigo Akimoto
レジデント
伊賀上 翔太
Shota Igaue
レジデント
野崎 良子
Ryoko Nozaki
レジデント
角田 龍太
Ryota Kakuta
専攻医
袰主 正太郎
Shotaro Horonusi
FAQ よくある質問
夫が食道がんと診断されました。高齢ですが、根治治療できますか?
ご高齢の方やさまざまな併存疾患を持つ患者さんに対しても,からだへの負担の少ない外科手術と周術期チームでの サポートによって,諦めずに最適な治療を提供することを目標にしています。是非ご相談ください
手術後、からだの中はどうなってしまいますか?
食道は全体が切除されてなくなってしまいますが,胃を食道のような“管“に作り替えることによって,食道の代わりと なるような食べ物の通り道を作るのが標準的な手術になります。
手術後、胃は残りますか?
胃を食道の代わりの“管”に作り替えて新しい食べ物の通り道にすることが多いです。そのため,いわゆる“胃袋”はなくなってしまいますが, 食事はこれまで通り口から召し上がっていただき,おなかの腸管へと流れていきます。
手術歴がある場合は、手術できませんか?
高齢化によって手術歴のある患者さんの数も増加しています。当院でもさまざまな手術の後の患者さんの治療を多く お手伝いさせていただいております。是非ご相談ください。
Schedule 治療スケジュール
予約から検査までのスケジュール